
全焼・半焼・部分焼・ぼやは、火災で建物がどのくらい焼けたかを表す「焼損の程度」の区分です。消防が火災の統計に使う基準で、主に、建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の何割にあたるかで分けます。ただしこの区分は、火災保険の支払いや、解体するか修理するかを決めるための基準ではありません。
この記事では、4つの区分の違いと、「半焼」と聞いたときに誤解しやすい点、そして解体か修理かを考えるときの材料と確認先を整理します。
全焼・半焼・部分焼・ぼやは、何が違うのですか?
主な違いは「焼き損害額が、火災前の建物の評価額の何割か」です。ただし全焼には、補修しても再使用できない建物も含まれ、ぼやには焼けた面積の条件もあります。国(消防庁)が定めた火災統計の基準では、次のように区分されています。
| 区分 | 基準(建物1棟ごと) |
|---|---|
| 全焼 | 建物の焼き損害額が、火災前の建物の評価額の70%以上のもの、又はこれ未満であっても残存部分に補修を加えて再使用できないもの |
| 半焼 | 建物の焼き損害額が、火災前の建物の評価額の20%以上のもので、全焼に該当しないもの |
| 部分焼 | 建物の焼き損害額が、火災前の建物の評価額の20%未満のもので、ぼやに該当しないもの |
| ぼや | 焼き損害額が評価額の10%未満で、焼けた床面積または表面積が1平方メートル未満のもの、又は収容物のみ焼損したもの |
ここでいう焼き損害額とは、火災で焼けたものや、熱で壊れたものの損害額のことです。消火活動の水による損害や、焼跡整理費・休業による損失などは含まず、その土地での時価で見積もります。
なお、東京消防庁の統計の解説では、同じ区分を「建物の70%以上を焼損したもの」「建物の20%以上70%未満を焼損したもの」のように、焼損の割合として説明しています。どちらの説明でも、半焼が「半分焼けた」という意味ではない点は同じです。
半焼とは、建物の半分が焼けたという意味ですか?
いいえ。半焼は「半分焼けた」という意味ではなく、焼き損害額が評価額の20%以上で、全焼にあたらないものを指します。
つまり、半焼の幅はかなり広く、焼き損害額が評価額の2割ほどの場合も、7割近い場合も、同じ「半焼」に入ります。また、焼けていない部分にも煙や消火の水の影響が及ぶことがあるため、区分の名前だけでは建物の傷み具合は分かりません。
- 半焼は「評価額の20%以上・全焼に該当しない」の幅のある区分
- 区分の名前だけでは、建物の傷み具合は分からない
- 同じ半焼でも、柱や梁などの傷み方は建物ごとに違う
「半焼と言われたから修理で済むはず」「半焼だから建て替えは大げさ」と、区分だけで決めてしまわないことが大切です。
消防の「全焼・半焼」と、火災保険の判定は同じですか?
同じではありません。消防の区分は火災統計のためのもので、保険金が支払われるかどうかや、その金額は、ご加入の火災保険の契約内容(約款)によって決まります。
保険会社の案内のなかには、地震による火災の費用の補償などで、「半焼以上」といった似た言葉を、建物の主要構造部の損害の額や、焼失した部分の床面積の割合などで別に定めているものもあります。言葉が同じでも、物差しが違うことがあるということです。
| 知りたいこと | 確認先 |
|---|---|
| 保険の補償の範囲と、損害の判定のしかた | ご加入の保険会社(契約の内容・約款) |
| り災証明書の申請方法 | 火災があった場所を管轄する消防署 |
| 税金などの減免の制度 | 物件所在地の市区町村(東京の区部の固定資産税などは都税事務所)・税務署 |
り災証明書とは、火災の被害を受けたことを証明する書類で、火災の場合は、管轄の消防署等で発行されます。保険金の請求や各種の減免の手続きで必要になることがあります。保険や制度の確認先は火災保険・公的支援の確認ガイドにもまとめています。
解体か修理かは、何を材料に考えればよいですか?
決め手になるのは区分の名前ではなく、建物を直して安全に使い続けられるかどうかです。消防の全焼の基準にも「残存部分に補修を加えて再使用できないもの」が含まれているように、「直して使えるか」は大きな物差しの一つです。
| 考える材料 | 確かめたいこと | 主な相談先 |
|---|---|---|
| 建物の骨組み | 柱・梁・基礎など、建物を支える部分がどのくらい傷んでいるか | 建築士・工務店・解体業者の現地確認 |
| 焼けていない部分 | 煙やすす、消火活動の水などの影響が、どこまで及んでいるか | 建築士・工務店 |
| 保険の補償 | 修理と建て替え、それぞれの場合に補償がどう扱われるか | ご加入の保険会社 |
| 建て替える場合の条件 | 今の土地に、どのような建物を建てられるか | 建築士・市区町村の建築の窓口 |
| 暮らしの見通し | 仮住まいの期間、ご家族の今後の住まい方 | ご家族での話し合い |
なお、賃貸住宅にお住まいの方は、修理するか解体するかを決めるのは建物の所有者のため、まず大家さんや管理会社へご連絡ください。分譲マンションの場合は、共用部分を含む建物の扱いを一人で決めることはできないため、管理組合や管理会社に相談しましょう。
修理と建て替えの両方の見積りをそろえてから比べると、判断しやすくなります。解体する場合の工期は、建物の規模や損傷の程度によって変わり、通常は数日から数週間程度です。
解体を考え始めたら、まず何をすればよいですか?
まずは消防・警察の火災原因調査が終わるのを待ちます。保険会社への連絡は、調査と並行して進められます。東京消防庁の消防署の案内でも、火災現場は調査が終わるまで立ち入らず、焼けたものの後片付けは調査の終了後にするよう案内しています。
- 火災原因調査が終わるまで、現場に立ち入らない・片付けない(煙や熱など異常を感じたら、すぐに119番へ)
- ご加入の保険会社へ連絡し、補償の内容と必要な書類を確認する
- 立ち入ってよいかを消防署に確認してから、建物の外観や室内、焼けた家財の様子を写真で残す
- 管轄の消防署で、り災証明書の申請方法を確認する
- 解体業者や工務店に現地を見てもらい、見積りを取る
手続きの順番は火災後、解体までにすることで詳しくご紹介しています。当社では現地確認とお見積りを無料で行い、保険会社への確認に使えるよう、工事の範囲や費用の内訳をご説明します。保険金の請求や保険会社とのやり取りはご本人が行うもので、当社が支払いをお約束することはできません。解体の作業内容は火災建物の解体・対応内容をご覧ください。
よくある質問
部分焼とは、どのような状態ですか?
建物の焼き損害額が、火災前の評価額の20%未満で、ぼやにあたらないものです。ぼやより被害が大きく、半焼には届かない区分と考えると分かりやすいでしょう。
「全焼」と言われたら、解体するしかないのですか?
消防の全焼は、焼き損害額の割合などによる統計上の区分で、解体するかどうかを決めるものではありません。実際には、建物の骨組みの状態、保険の補償、建て替えの条件、ご家族の暮らしをふまえて判断します。
半焼なら、修理して住み続けられますか?
区分だけでは決まりません。半焼は被害の幅が広い区分で、焼けていない部分にも煙や消火の水の影響が残ることがあります。修理できるかどうかは、建築士や工務店に現地で確かめてもらいましょう。
火災のあとは、気持ちの整理がつかないまま、決めることが次々にやってきます。区分の言葉にとらわれすぎず、ひとつずつ確かめていきましょう。解体するかどうか迷っている段階でも、今の状況をお聞かせください。お電話・LINE・WEBフォームから、ご相談・現地確認・お見積りを無料で承っています。