
火災保険の損害調査とは、保険会社やその委託を受けた鑑定人が、火災で受けた損害の状況や金額を確かめる手続きです。現地の調査に立ち会うことがあるため、解体や片付けを始める前に保険会社へ連絡し、調査の予定と、それまでに残しておくものを確認しておくことが大切です。
この記事では、損害調査の流れ、鑑定人の立会いの前に準備しておきたいもの、保険で「半焼」「全焼」がどう判断されるかをまとめます。保険金の額や支払いの可否は契約と被害の状況によって決まるため、最終的な確認はご加入の保険会社・代理店で行ってください。
火災保険の損害調査とは、何をするものですか?
損害調査は、保険金を支払う前に、事故の状況と損害の状況を保険会社が確かめるものです。保険会社は事故の連絡を受けたあとに調査を行い、提出された書類なども使って状況を確認します。調査には協力が求められ、調査が終わると支払う額が知らされます。
現地の調査は、保険会社の担当者のほか、鑑定人が行うことがあります。鑑定人とは、保険会社から委託を受けて、建物や家財の価値の評価、火災などで受けた損害の額の算定、事故の状況・原因の調査を行う専門家です。日本損害保険協会の試験に合格して登録された「損害保険登録鑑定人」という仕組みもあります。
調査の進め方や、現地調査があるかどうかは、保険会社や被害の状況によって違います。連絡の際に「現地の調査はあるか」「いつごろになりそうか」を聞いておくと、その後の予定が立てやすくなります。
隣家からのもらい火で被害を受けた場合も、まず連絡するのはご自身が加入している保険会社です。火元に重大な過失がある場合を除いて、火元に損害賠償を求められないのが法律上の原則のためです。賃貸住宅にお住まいの方は、建物の保険の請求や解体を決めるのは建物の所有者のため、大家さんや管理会社にも連絡しましょう。共済やご家族名義の契約など、ほかに入っている保険がないかもあわせて確かめておきましょう。
損害調査は、どんな順番で進みますか?
おおまかな流れは、保険会社への連絡から始まり、調査と書類の確認を経て、支払額が決まるという順番です。
| 段階 | 主なこと | ご本人が確かめたいこと |
|---|---|---|
| 1. 保険会社・代理店へ連絡 | 火災があったこと、被害の様子を伝える | 現地の調査があるか、必要な書類、解体・片付けを始めてよい時期 |
| 2. 被害の記録 | 写真を撮る、焼けた家財をメモする | 現場に入ってよいか(消防署に確認)、片付けの前に記録を残せているか |
| 3. 現地の調査(立会い) | 担当者や鑑定人が建物・家財の損害を確認する | 立ち会う日時と、当日見てほしい箇所 |
| 4. 書類の提出 | 保険金の請求書、見積書、写真などを出す | 追加の書類を求められていないか |
| 5. 支払額の連絡 | 調査と書類をもとに支払額が知らされる | 金額の内訳と、分からない点の問い合わせ先 |
書類の提出と現地の調査は、前後することがあります。流れは保険会社や商品、契約によって異なります。また、保険金の請求には期限があるため、片付けが落ち着いてから…と先延ばしにせず、早めに連絡しておきましょう。
鑑定人の立会いの前に、何を準備すればよいですか?
立会いの前に大切なのは、被害の様子が分かる記録を残しておくことです。片付けや解体を進めたあとでは、損害の状況を確かめにくくなります。なお、消防による火災の調査が終わるまでは、現場への立入りや片付けは控えましょう。立ち入ってよいかどうかは、消防署に確認してください。
被害の写真
建物の写真は、損害のある箇所の近くから撮ったもの、その箇所と周りが分かるもの、建物の全体が分かるものをそろえておくと安心です。家財は、被害を受けた物が分かるように撮り、メーカー名や型番が見えればそれも撮っておきます。焼けた建物はもろくなっていることがあるため、危ない場所には立ち入らず、外から撮れる範囲にとどめてください。室内などに入って撮るのは、消防署に立ち入ってよいか確認してからにしてください。
手元にそろえておきたいもの
- 保険証券、または契約内容が分かる書類(証券番号や補償の範囲を確かめるため。焼けてしまったときは、保険料の引き落とし記録などから契約先の保険会社を確かめて問い合わせましょう)
- 被害の写真(スマートフォンの写真でかまいません)
- 焼けた家財のメモ(品名、おおよその購入時期など)
- 修理や解体の見積書(求められた場合)
請求に必要な書類は、保険金の請求書、修理などの見積書、被害の状況が分かる写真などが一般的ですが、契約や被害によっては、り災証明書(火災の被害を受けたことを証明する書類で、火災の場合は消防署で発行されます)などほかの書類を求められることもあります。何が必要かは、保険会社に確認しましょう。
当日に伝えたいこと
立会いの当日は、火が出た場所や燃え広がった範囲、煙やすす、消火の水でぬれた箇所など、気づいている被害を伝えましょう。見落とされていると感じる箇所があれば、その場で伝えておくと確認してもらいやすくなります。
火災保険の「半焼」「全焼」は、どう判断されますか?
火災保険で建物が「全焼」にあたるかどうかは、消防の区分ではなく、保険会社の約款(契約の決まり)にもとづいて判断されます。たとえば、焼けた部分の床面積が建物の延床面積に占める割合で全焼かどうかを決め、全焼にあたれば保険金額の全額を支払う、と定めている商品があります。
一方、消防が火災の記録として使う「全焼」「半焼」「部分焼」「ぼや」は、焼けた割合などで分ける区分です。言葉は同じでも物差しが違うため、消防の区分で「半焼」と言われたからといって、保険の判断も同じになるとは限りません。消防の区分については全焼・半焼・部分焼・ぼやの違いで詳しく説明しています。
全焼にあたらない場合は、損害の額をもとに保険金が計算されるのが一般的です。たとえば、修理にかかる費用から、契約で決めた自己負担の額(免責金額)を差し引いて計算する商品があります。計算の方法は商品によって違うため、支払額の内訳で分からない点があれば、保険会社に説明を求めましょう。
解体は、損害調査が終わってからのほうがよいですか?
解体や大がかりな片付けは、保険会社に連絡し、始めてよい時期を確かめてから進めるのが基本です。調査の前に建物を取り壊すと、損害の状況を確かめられなくなるおそれがあるためです。
ただし、倒壊のおそれがあるなど、安全のために急いで対応したほうがよい場合もあります。その場合も、保険会社に事情を伝え、建物に近づかずに安全な場所から撮れる範囲で記録を残してから進めましょう。火災後に解体までにすることの順番は火災後、解体までにすることにまとめています。
保険会社への確認で解体工事の見積書が必要になったときは、当社でご用意できます。工事の範囲や費用の内訳もご説明しますので、保険会社とのやり取りにお役立てください。保険金の請求や保険会社との交渉はご本人が行うもので、保険金の支払いを当社がお約束することはできません。保険の確認の進め方は火災保険・公的支援の確認ガイドもご覧ください。
「保険が使える」と言われたら、どうすればよいですか?
「保険金を使えば自己負担なく直せる」などと勧誘されても、その場で契約しないことが大切です。日本損害保険協会は、このような勧誘を受けたときは、業者と契約する前に、契約している損害保険会社か代理店に相談するよう呼びかけています。保険金が支払われずに代金を自己負担することになったり、解約の際に高い手数料を求められたりするトラブルがあるためです。
保険金が支払われるかどうか、いくら支払われるかを決めるのは保険会社です。工事の会社が保険金の額を約束することはできない、と覚えておくと安心です。
よくある質問
Q. 損害調査の前に、焼けた家財を片付けてもよいですか?
A. 消防による火災の調査が終わるまでは、現場への立入りや片付けは控え、片付けを始めてよいかは消防署に確認してください。あわせて保険会社にも連絡して確認しましょう。片付けるときは、先に被害の様子を写真に残し、処分する物をメモしておくと、あとで説明しやすくなります。家財などの火災ごみの出し方は自治体によって違うため、所在地の自治体の案内もあわせて確認してください。
Q. 鑑定人の立会いには、必ずいなければいけませんか?
A. 立会いの要否や日時の決め方は、保険会社によって違います。都合がつかないときは、日程を相談できるか保険会社に問い合わせましょう。ご家族などに代わりを頼みたい場合も、あらかじめ伝えておくと安心です。
Q. 解体の見積書は、いつ用意すればよいですか?
A. 保険会社に連絡した際に、見積書が必要か、いつまでに出せばよいかを確認しておくと進めやすくなります。当社では、ご相談・現地確認・お見積りを無料で行っています。
火災のあとは、保険、手続き、片付けと、考えることが一度に押し寄せます。消防署・保険会社への確認と記録を先に済ませておけば、解体の段取りは落ち着いて決められます。解体工事や見積書のことで分からないことがあれば、お問い合わせから、お気軽にご相談ください。